窯主エッセイ 第43回日展の審査を終えて
第43回日展の審査を終えて PDF 印刷 Eメール
作者: 青木 清高   
2011年 11月 08日(火曜日) 15:51

10月は第43回日展の審査員の仕事で、そのほとんどの時間を、東京六本木の国立新美術館で過ごしました。しかしながら同じく審査に当たられた芸術院会員の先生方をはじめ、東京芸大や京都芸大の先生がたと大変貴重な経験をさせていただいたと感謝しています。

日展は今から100数年前、1907年の第1回文展(文部省美術展)にその始まりがあります。1958年に再組織化され民営化されますが、明治以来、第4科工芸美術の作家は技術は当然のこととして、自身の想いを表現するということに重きを置いてきました。そしてその結果生み出されてきたものは製品ではなく作品と呼ばれてきたのです。明治、大正、昭和、平成を通じて日展の工芸が唱えてきた「創意本流」の視点がいつの時代にも共通した概念でした。
 
 
■写真説明 各科に分かれている国立新美術館の展示場
 
■写真説明 連日多くの来観者の方々で賑わう会場
 
 
 
多くの出品作の中から1審、2審、3審と厳正に鑑審査を繰り返し476点の作品が選別されました。審査員どうしも常に鍔迫り合いの一触即発の緊張感の中、慎重にかつ丁寧に審査が進んでゆきました。しかしそれは、これから先の日展を真剣に考えていた今年の審査員の共通の思いがあったからだと考えています。命懸けで制作された作品を、入選させるのも私たちの仕事ですが選外の作品を決めるのも私たちの仕事、大変な任務でした。第43回日展は東京のあと京都、大阪、名古屋、福岡、松江、金沢、福井と巡回します。
 
 
■写真説明 多くの若い作家の出品も目立った。
最終更新 2011年 11月 10日(木曜日) 07:27
 

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